鍛冶屋サキュバス奮闘記
定期更新型ネットゲーム『sicx Lives』に参加している、リムル(579)の日記帳です。 主に日記置き場ですが、お絵描きしてたり、何か呟いてたりもします。
カテゴリー「旧:紅露の日記(偽島2期)」の記事一覧
探索4日目。
- 2007/05/28 (Mon)
- 旧:紅露の日記(偽島2期) |
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紅露は着替えながら考えていた。
あの女性は一体何者なのだろうか?
ここの部屋は自分の寝室だと言っていた。
あの口ぶりからして、この家の主と考えてもよさそうだ。
自分は行き倒れになっていたそうだが、一体此処は何処なのだろうか?
窓の外を覗いてみれば、外は一面真っ白だ。
この家の周りには他の建物がほとんど何も建っていなかった。
遠くの方にあるのは森だろうか?
そんな広い大地は、紅露が生まれ育った村では滅多に目にしたことの無い、白い雪で覆われている。
自分はエルタへの船が出る町へ居たはずだ。
そこはこの時期に雪など降る気候の町ではない。
ならば、ここは元居た場所から大層離れているのではないだろうか。
「確かに宿をとって・・・部屋に上がって・・・そこまでしか覚えてないんだけど・・・」
まさか自分には夢遊病の気でもあったのだろうか。
それとも、眠っている間に何者かに運ばれでもしてきたのだろうか?
そう考えてみて、紅露は首を捻る。
例え眠っていたとしても、人が部屋に入ればさすがに気配で目は覚める。
「うーん、わからないなぁ・・・・・・」
思い出そうとは試みるものの、本当に何も記憶に無いのだから仕方が無い。
ともかく今は早々と身支度を整え、先ほどの主に礼を言いに行かねばならない。
そしてできるなら自分の今の境遇を出来る限り詳しく知りたい。
ぱっと自分の身体を見渡したところ、怪我などはないようだった。
軽く身体を動かしてみても、特に異常や違和感もない。
「・・・・・・なのに、なんで裸だったんだろう・・・・・・」
これは問題だ。
自分で脱いだ記憶はないので、何者かに脱がされたのだろうとは思うが、なぜ脱がされたのだろうか。
自分が行き倒れていたというのならば、怪我がないか調べるために脱がされたというのが1番しっくりくる。
しかし何も異常が見つからなかったのならば、服を着せてくれていてもよかったのでは?
いや、そもそも一体いつから自分は裸だったのだろうか?
まさか行き倒れている時点ですでに裸だったとか・・・そういうことは・・・。
「いや、いやいやいや、服はちゃんと預かって頂いていたんだから、それはないはず・・・!!」
一瞬嫌な想像をしてしまって、青くなる。
紅露はまだ悩んでいた・・・。
探索3日目。
- 2007/05/19 (Sat)
- 旧:紅露の日記(偽島2期) |
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それは島に降り立つ3日前。
目蓋越しに降り注ぐ柔らかな日差しに手を引かれ、眠りの淵から浮上する。
ゆっくりと目蓋を上げると、そこには見知らぬ天井があった。
(・・・・・・?)
自分の身体の下には柔らかな寝床の感触。
ゆっくりと視線を彷徨わせ、辺りを見回してみる。
やはり見覚えの無い、白い部屋が広がっていた。
家具や調度品は殆ど見えず、すぐ傍らには高窓があり、少し離れたところに扉が1つ。
(・・・・・・ええと、此処は・・・何処・・・?)
何故自分はこんなところに居るのか?
記憶を遡ろうと試みるが、頭がぼんやりとして、うまくいかない。
(とにかく、起きよう)
力の入らない身体を叱咤し、どうにか上半身を起こすと、上掛けがするりと滑り落ちる。
何気なく目をやったその先の光景に、紅露は仰天し目を剥いた。
自分は何も纏っていなかった。
清潔そうな白い上掛けが、ぎりぎり腰から下を隠している状態である。
(な、なんで、裸・・・?! ふ、服は・・・っ?)
慌てて寝床の周りを確認するが、服は見当たらない。
一体何故、自分は見知らぬ部屋で、しかも裸で寝ていたのか。
早急に思い出さねば身の危険を感じる。
いや、これはもはや、貞操の危機だ。
(えーと、えーと・・・・・・そうだ、手紙・・・)
事の始まりは一通の手紙だった。
それは知らぬ男から届いた、パーティーへの招待状。
自分個人に届いたというよりは、偶然に村へ舞い込んできたと言うのが正しい。
それを村の長から自分にと頂いたのだ。
(それで・・・まず、エルタへ行こうと・・・)
段々と、記憶が蘇ってくる。
島はエルタの地より真南の方向にあると、招待状に記されていた。
紅露の村からエルタの地へ行くには、別の町から船に乗る必要があった。
だから、紅露はまずその町へと単身向かったのだ。
しかし紅露が町に着いた時には、すでにその日の船は出た後だった。
(出航は翌日の朝1番だったから・・・宿をとって・・・)
それから、どうしたのだったか。
(ええと・・・ええと・・・・・・あれ?)
懸命に思い出そうとするが、その後がまったく思い出せない。
面白いくらいすっぽりと、その後の記憶が抜けて落ちていた。
「目が覚めたか」
「うわぁっ!!」
突如かけられた声に肩が飛び上がる。
とっさに肌蹴けかけた上掛けを、胸元まで引っ張り上げた。
「なぁに、警戒しなくてもよい。此処はワシの寝室。そなたに害は与えぬ」
上掛けの中で密かに構えをとった紅露に、女は笑った。
現れた女は背が高く、真っ白な肌に、膝元までもある漆黒の髪。
長いまつげに縁取られた紅い瞳が、楽しげな光を浮かべていた。
「おはよう、コウセツ」
女の視線の先には、不審気な顔をした紅露が1人きり。
「この意味がわかるか?」
白く長い上掛けを纏う女にかけられた言葉に、紅露は答えられない。
おそらく、自分へ投げかけられた『コウセツ』というのは、名前。
しかし自分のものとは違う。
「・・・・・・いいえ」
申し訳ありませんが、と付け加え、紅露は黙る。
答えをくれるのかと、伺うように視線を向ける先には、心なしか表情が薄れた女主人が佇む。
たっぷりと、鼓動が10を数えた後、女主人が口を開いた。
「行き倒れになっておったそなたをワシが拾うた。たっぷりと寝て体力も回復したろう。好きな時に旅立つがよい」
女はそれだけ言うと、ゆったりと踵を返し、部屋を後にした。
流れるような黒髪と、翻る白のコントラストに見とれ、お礼を言いそびれた紅露の前には、いつの間にやら蔦で編まれた籠が1つ。
なんだろうかと覗いてみると、そこには見覚えのある自分の服と、村から持って出た荷物があった。
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