鍛冶屋サキュバス奮闘記
定期更新型ネットゲーム『sicx Lives』に参加している、リムル(579)の日記帳です。 主に日記置き場ですが、お絵描きしてたり、何か呟いてたりもします。
検索6日目。
- 2007/06/10 (Sun)
- 旧:紅雪の日記(偽島2期) |
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紅露が眠った後はボクの時間。
「えへへ、知らない街だなんてワクワクしちゃう」
思わず口にしたのは喜び。
身体は軽々と窓を抜け出す。
夜を明るく照らす街並みの街灯。
外路地に並ぶ数々の露店と、家々の窓から零れる光と声。
すでに日も暮れ始めているというのに、路地は人が行き交い、活気に溢れている。
さすがは港のある街だ、田舎の村とは全然違う。
期待を抑えきれなかったボクは、宿の部屋に着いた途端に紅露を強制的に眠らせ、外に出た。
紅露の意識は眠り、今この身体を動かせるのはボクだけ。
そして明日の朝、宿のベットで目覚めた紅露は、今の事など何も覚えていない。
けれどボクは違い、紅露が普段生活している間の記憶もちゃんとある。
だから何故今、紅露がこんな場所に居るのかも知っていた。
紅露があの村から出る。
それはボクが生まれたあの時以来で、ここ10年以上無かったことだ。
薬師人は住処であるあの村を滅多に出ることはない。
それは自分たちの身を守る為であり、女では生涯1度として出ない者も居る。
何故なら、薬師人の持つ能力を疎む者、欲する者も影の世には少なくないからだ。
そして、そんな危険が自分の身に降りかかるかもしれないというのに、女の身である紅露は村を出た。
勿論、紅露と身体を同じくするボクには、その理由にも見当がつく。
「女のコの身体もいいと思うのになぁ」
外套の中で自分の胸をわし掴む。
前にボクが表に出たときと、触り心地は変わっていないように感じる。
「ちゃんと食べてるのかなぁ? 年齢的にはまだまだ大きくなるはずなのに・・・」
相変わらず腰が細く、ぺったんこなお腹には満足だ。
でももっと胸を大きくして、お尻にもお肉をつけて、セクシーになればいいのにと思う。
そしたらモテモテで、毎日楽しく暮らせそうなのに。
「せっかく見た目がいいんだから利用すればいいのに・・・まったく、勿体無いんだから・・・」
そんなことを言いながら、紅露が決してそんなことはできないのも知ってる。
紅露はちょっとおっとりしていて、常に柔らかな笑みを絶やさない。
ボクはそんな紅露が可愛いと思うけど、状況によってはとてもマヌケになる。
いつも一歩退いた感のある奥ゆかしさもいいけれど、やはりこれも場合によってはまどろっこしい。
自分の感情より周りを優先するやり方は、ボクからすればとても損をしているように見える。
もっと自分に自信を持って、積極的に、自発的になればいいのにと思わずにはいられない。
そんなことをぶつくさと口にしながら、足は大きな路地へと向かった。
人が行き交うそこには露店が並び、様々な土地から持ち寄られているのだろう品々が目を楽しませる。
「わぁ、綺麗だなぁ・・・」
そう言いながら足を止めたのは、装飾品を多く並べた店先。
目に留まったのは、小さな深紅の石を銀細工で縁取った首飾り。
細い銀の鎖を手に取り、石の部分を目線まで持ち上げてみる。
「姉さん綺麗だねぇ! これなら貴女の美しさにも見劣りしないよ!」
すぐ目の前にいた男の店主が、にっこりと笑いながら言う。
威勢のいい文句に、ボクはいい気分で笑いながら、
「ありがとう、ボクもきっと似合うと思うよ」
「ははは! わかってるね! 目の色ともぴったりだ、さぞ似合うだろうよ!」
値段はこんなとこだと店主が並べた指は2本で、どちらかと言えば安い気がして悩む。
けれどボクが紅露のお金で買い物をするわけもいかず、惜しみながらも諦めた。
自分の覚えていないところで路銀が減っていては紅露が驚く。
「・・・・・・ごめんね、おじさん。残念だけどまたにするよ」
「うーん、そうかい。しょうがねぇ、またいつでも歓迎するぜ」
粘る事なく引き下がった店主に気分を良くし、首飾りに後ろ髪を引かれつつ店を後にする。
もしかするとこの街は、1日に何百人何千人と人が行き交うほど大きいのかもしれない。
商売人の退きがいいのもきっとその為だろうと思った。
そしてそんな街には必ず、ならず者が居るのだと言うことを、ボクは失念していた。
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