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鍛冶屋サキュバス奮闘記

定期更新型ネットゲーム『sicx Lives』に参加している、リムル(579)の日記帳です。 主に日記置き場ですが、お絵描きしてたり、何か呟いてたりもします。

カテゴリー「旧:紅露の日記(偽島2期)」の記事一覧

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探索4日目。

 
 紅露は着替えながら考えていた。
 
 あの女性は一体何者なのだろうか?
 ここの部屋は自分の寝室だと言っていた。
 あの口ぶりからして、この家の主と考えてもよさそうだ。
 自分は行き倒れになっていたそうだが、一体此処は何処なのだろうか?
 
 窓の外を覗いてみれば、外は一面真っ白だ。
 この家の周りには他の建物がほとんど何も建っていなかった。
 遠くの方にあるのは森だろうか?
 そんな広い大地は、紅露が生まれ育った村では滅多に目にしたことの無い、白い雪で覆われている。
 自分はエルタへの船が出る町へ居たはずだ。
 そこはこの時期に雪など降る気候の町ではない。
 ならば、ここは元居た場所から大層離れているのではないだろうか。
 
「確かに宿をとって・・・部屋に上がって・・・そこまでしか覚えてないんだけど・・・」
 
 まさか自分には夢遊病の気でもあったのだろうか。
 それとも、眠っている間に何者かに運ばれでもしてきたのだろうか?
 そう考えてみて、紅露は首を捻る。
 例え眠っていたとしても、人が部屋に入ればさすがに気配で目は覚める。
 
「うーん、わからないなぁ・・・・・・」
 
 思い出そうとは試みるものの、本当に何も記憶に無いのだから仕方が無い。
 ともかく今は早々と身支度を整え、先ほどの主に礼を言いに行かねばならない。
 そしてできるなら自分の今の境遇を出来る限り詳しく知りたい。
 ぱっと自分の身体を見渡したところ、怪我などはないようだった。
 軽く身体を動かしてみても、特に異常や違和感もない。
 
「・・・・・・なのに、なんで裸だったんだろう・・・・・・」
 
 これは問題だ。
 自分で脱いだ記憶はないので、何者かに脱がされたのだろうとは思うが、なぜ脱がされたのだろうか。
 自分が行き倒れていたというのならば、怪我がないか調べるために脱がされたというのが1番しっくりくる。
 しかし何も異常が見つからなかったのならば、服を着せてくれていてもよかったのでは?
 いや、そもそも一体いつから自分は裸だったのだろうか?
 まさか行き倒れている時点ですでに裸だったとか・・・そういうことは・・・。
 
「いや、いやいやいや、服はちゃんと預かって頂いていたんだから、それはないはず・・・!!」
 
 一瞬嫌な想像をしてしまって、青くなる。
 紅露はまだ悩んでいた・・・。
 
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探索3日目。

 
 それは島に降り立つ3日前。
 
 目蓋越しに降り注ぐ柔らかな日差しに手を引かれ、眠りの淵から浮上する。
 ゆっくりと目蓋を上げると、そこには見知らぬ天井があった。
 
(・・・・・・?)
 
 自分の身体の下には柔らかな寝床の感触。
 ゆっくりと視線を彷徨わせ、辺りを見回してみる。
 やはり見覚えの無い、白い部屋が広がっていた。
 家具や調度品は殆ど見えず、すぐ傍らには高窓があり、少し離れたところに扉が1つ。
 
(・・・・・・ええと、此処は・・・何処・・・?)
 
 何故自分はこんなところに居るのか?
 記憶を遡ろうと試みるが、頭がぼんやりとして、うまくいかない。
 
(とにかく、起きよう)
 
 力の入らない身体を叱咤し、どうにか上半身を起こすと、上掛けがするりと滑り落ちる。
 何気なく目をやったその先の光景に、紅露は仰天し目を剥いた。
 自分は何も纏っていなかった。
 清潔そうな白い上掛けが、ぎりぎり腰から下を隠している状態である。
 
(な、なんで、裸・・・?! ふ、服は・・・っ?)
 
 慌てて寝床の周りを確認するが、服は見当たらない。
 一体何故、自分は見知らぬ部屋で、しかも裸で寝ていたのか。
 早急に思い出さねば身の危険を感じる。
 いや、これはもはや、貞操の危機だ。
 
(えーと、えーと・・・・・・そうだ、手紙・・・)
 
 事の始まりは一通の手紙だった。
 それは知らぬ男から届いた、パーティーへの招待状。
 自分個人に届いたというよりは、偶然に村へ舞い込んできたと言うのが正しい。
 それを村の長から自分にと頂いたのだ。
 
(それで・・・まず、エルタへ行こうと・・・)
 
 段々と、記憶が蘇ってくる。
 
 島はエルタの地より真南の方向にあると、招待状に記されていた。
 紅露の村からエルタの地へ行くには、別の町から船に乗る必要があった。
 だから、紅露はまずその町へと単身向かったのだ。
 しかし紅露が町に着いた時には、すでにその日の船は出た後だった。
 
(出航は翌日の朝1番だったから・・・宿をとって・・・)
 
 それから、どうしたのだったか。
 
(ええと・・・ええと・・・・・・あれ?)
 
 懸命に思い出そうとするが、その後がまったく思い出せない。
 面白いくらいすっぽりと、その後の記憶が抜けて落ちていた。
 
 
 
 
「目が覚めたか」
 
 
 
 
「うわぁっ!!」
 
 突如かけられた声に肩が飛び上がる。
 とっさに肌蹴けかけた上掛けを、胸元まで引っ張り上げた。
 
「なぁに、警戒しなくてもよい。此処はワシの寝室。そなたに害は与えぬ」
 
 上掛けの中で密かに構えをとった紅露に、女は笑った。
 
 現れた女は背が高く、真っ白な肌に、膝元までもある漆黒の髪。
 長いまつげに縁取られた紅い瞳が、楽しげな光を浮かべていた。
 
「おはよう、コウセツ」
 
 女の視線の先には、不審気な顔をした紅露が1人きり。
 
「この意味がわかるか?」
 
 白く長い上掛けを纏う女にかけられた言葉に、紅露は答えられない。
 おそらく、自分へ投げかけられた『コウセツ』というのは、名前。
 しかし自分のものとは違う。
 
「・・・・・・いいえ」
 
 申し訳ありませんが、と付け加え、紅露は黙る。
 答えをくれるのかと、伺うように視線を向ける先には、心なしか表情が薄れた女主人が佇む。
 たっぷりと、鼓動が10を数えた後、女主人が口を開いた。
 
「行き倒れになっておったそなたをワシが拾うた。たっぷりと寝て体力も回復したろう。好きな時に旅立つがよい」
 
 女はそれだけ言うと、ゆったりと踵を返し、部屋を後にした。
 流れるような黒髪と、翻る白のコントラストに見とれ、お礼を言いそびれた紅露の前には、いつの間にやら蔦で編まれた籠が1つ。
 なんだろうかと覗いてみると、そこには見覚えのある自分の服と、村から持って出た荷物があった。
 

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