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鍛冶屋サキュバス奮闘記

定期更新型ネットゲーム『sicx Lives』に参加している、リムル(579)の日記帳です。 主に日記置き場ですが、お絵描きしてたり、何か呟いてたりもします。

カテゴリー「旧:紅雪の日記(偽島2期)」の記事一覧

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探索14日目。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 襲い来る痛みと恐怖。
 
 その混乱の中でボクは生まれた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 眩む視界。
 動かない身体。
 腹部で疼く、鈍い痛み。
 
「やっと大人しくなったか。まったく、手間をかけさせてくれる」
 
「足を切り落としちまおうぜ。また逃げられたら面倒だ」
 
「馬鹿。それこそ片付けが面倒なことになる」
 
「向こうに行ってからでいいんじゃないか? あそこの寒さなら、血管が縮みあがって出血も抑えられる」
 
 自分の頭の周りで、物騒な会話が交わされている。
 男の重い拳を腹部に貰った身体は呆気なく地面へと伏し、即座に複数の男に取り押さえられていた。
 
 小さな頃から鍛練されている、紅露の身体。
 走れば速く、剣を振るう力もあり、素早い身のこなしができる。
 けれど、いつも紅露の身体を介し体験しているつもりであった戦闘に、紅雪の意識はついていけなかった。
 否、気配を察知し、目が追い、身体が反応しても、瞬時の判断で次の行動に移ることができなかったのだ。
 
(ボクの身体でもあるはずなのに・・・こんなにも、遅い・・・・・・)
 
 男達の腕を跳ね除けようと、四肢に力を込める。
 声を出そうと、くちびるを開く。
 しかし、弛緩しきった体は指先ひとつ動かず、声が喉を震わすこともなかった。
 
 紅露だったらきっと、ちゃんと逃げ切れていたはずなのに。
 もし追いつかれたとしても、きっと撃退できたはずなのに。
 
 腹の痛みの所為ではない、別のもので視界が歪む。
 薄く張った水の膜で、男達の足元が揺らいで見えた。
 
 勝手に出歩いたりしなければよかったと、今更嘆いてももう遅い。
 紅露の身体は自分の愚行によって、男達の手に落ちてしまった。
 
「じゃぁまぁ、そういうことで」
 
 1人の男が腰を上げる。
 男達の話がついたらしい。
 
「久しぶりの上玉だ。しばらくは丁重に扱ってやろう」
 
 言葉と同時に振り下ろされたのは、後頭部より少し下への衝撃。
 ボクの意識は、暗転した。
 
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探索12日目。


 紅雪は張り切ってウォッチング日記を書いたために疲れて眠っている。

探索11日目。

 
 紅雪は興奮しながら王子様と従者さんのウォッチング日記をしたためている。
 

探索10日目。

 
 ボクは目を見開いた。
 
 め、目の前に、あの噂の王子様と従者さんがいる!
 あと兵士の女の子と教育係のひとと、もうひとりおっきな本持った子がいる!
 いつもウォッチングを楽しみにしているパーティの人たちだ。
 いいなぁいいなぁ!紅露の代わりにボクが戦いたい!!
 
 でもさすがに紅露の意識はしっかりしているようだ。
 これじゃぁ、この間みたく無理矢理に眠らせてボクが出るっていうのも難しい。
 ああーっ、あの王子様と従者さんを生で触れるなんて・・・っ。
 まぁ、正式に言えば触るっていうか、斬りあうんだけど。
 
 しょうがない、今日は大人しく紅露の中から楽しむとしよう。
 こんな近くからウォッチングできる日がくるなんて思ってもみなかったしね。
 ふふふ、わくわくしちゃうなぁ・・・。
 

検索6日目。

 
 
 
 
 紅露が眠った後はボクの時間。
 
 
 
 
「えへへ、知らない街だなんてワクワクしちゃう」
 
 思わず口にしたのは喜び。
 身体は軽々と窓を抜け出す。
 
 夜を明るく照らす街並みの街灯。
 外路地に並ぶ数々の露店と、家々の窓から零れる光と声。
 すでに日も暮れ始めているというのに、路地は人が行き交い、活気に溢れている。
 さすがは港のある街だ、田舎の村とは全然違う。
 
 期待を抑えきれなかったボクは、宿の部屋に着いた途端に紅露を強制的に眠らせ、外に出た。
 紅露の意識は眠り、今この身体を動かせるのはボクだけ。
 そして明日の朝、宿のベットで目覚めた紅露は、今の事など何も覚えていない。
 けれどボクは違い、紅露が普段生活している間の記憶もちゃんとある。
 だから何故今、紅露がこんな場所に居るのかも知っていた。
 
 紅露があの村から出る。
 それはボクが生まれたあの時以来で、ここ10年以上無かったことだ。
 
 薬師人は住処であるあの村を滅多に出ることはない。
 それは自分たちの身を守る為であり、女では生涯1度として出ない者も居る。
 何故なら、薬師人の持つ能力を疎む者、欲する者も影の世には少なくないからだ。
 そして、そんな危険が自分の身に降りかかるかもしれないというのに、女の身である紅露は村を出た。
 勿論、紅露と身体を同じくするボクには、その理由にも見当がつく。
 
「女のコの身体もいいと思うのになぁ」
 
 外套の中で自分の胸をわし掴む。
 前にボクが表に出たときと、触り心地は変わっていないように感じる。
 
「ちゃんと食べてるのかなぁ? 年齢的にはまだまだ大きくなるはずなのに・・・」
 
 相変わらず腰が細く、ぺったんこなお腹には満足だ。
 でももっと胸を大きくして、お尻にもお肉をつけて、セクシーになればいいのにと思う。
 そしたらモテモテで、毎日楽しく暮らせそうなのに。
 
「せっかく見た目がいいんだから利用すればいいのに・・・まったく、勿体無いんだから・・・」
 
 そんなことを言いながら、紅露が決してそんなことはできないのも知ってる。
 紅露はちょっとおっとりしていて、常に柔らかな笑みを絶やさない。
 ボクはそんな紅露が可愛いと思うけど、状況によってはとてもマヌケになる。
 いつも一歩退いた感のある奥ゆかしさもいいけれど、やはりこれも場合によってはまどろっこしい。
 自分の感情より周りを優先するやり方は、ボクからすればとても損をしているように見える。
 もっと自分に自信を持って、積極的に、自発的になればいいのにと思わずにはいられない。
 
 そんなことをぶつくさと口にしながら、足は大きな路地へと向かった。
 人が行き交うそこには露店が並び、様々な土地から持ち寄られているのだろう品々が目を楽しませる。
 
「わぁ、綺麗だなぁ・・・」
 
 そう言いながら足を止めたのは、装飾品を多く並べた店先。
 目に留まったのは、小さな深紅の石を銀細工で縁取った首飾り。
 細い銀の鎖を手に取り、石の部分を目線まで持ち上げてみる。
 
「姉さん綺麗だねぇ! これなら貴女の美しさにも見劣りしないよ!」
 
 すぐ目の前にいた男の店主が、にっこりと笑いながら言う。
 威勢のいい文句に、ボクはいい気分で笑いながら、
 
「ありがとう、ボクもきっと似合うと思うよ」
 
「ははは! わかってるね! 目の色ともぴったりだ、さぞ似合うだろうよ!」
 
 値段はこんなとこだと店主が並べた指は2本で、どちらかと言えば安い気がして悩む。
 けれどボクが紅露のお金で買い物をするわけもいかず、惜しみながらも諦めた。
 自分の覚えていないところで路銀が減っていては紅露が驚く。
 
「・・・・・・ごめんね、おじさん。残念だけどまたにするよ」
 
「うーん、そうかい。しょうがねぇ、またいつでも歓迎するぜ」
 
 粘る事なく引き下がった店主に気分を良くし、首飾りに後ろ髪を引かれつつ店を後にする。
 もしかするとこの街は、1日に何百人何千人と人が行き交うほど大きいのかもしれない。
 商売人の退きがいいのもきっとその為だろうと思った。
 そしてそんな街には必ず、ならず者が居るのだと言うことを、ボクは失念していた。
 

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