鍛冶屋サキュバス奮闘記
定期更新型ネットゲーム『sicx Lives』に参加している、リムル(579)の日記帳です。 主に日記置き場ですが、お絵描きしてたり、何か呟いてたりもします。
探索43日目。
- 2008/06/04 (Wed)
- 旧:紅露の日記(偽島2期) |
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あの不思議な人形を見つけてから一夜明け、
寝ぼけ眼で寝床から抜け出す手に触れたのは、1枚の小さな紙だった。
紙面には小さめの拙い字で、たった一行。
『 探さないでください 』
目に映った数少ないその符号たちを、一拍置いた頭が文章として認識し、
ぼんやりとしていた視界と思考が急速に覚醒する。
慌てて紙を裏返してみるものの、そこには差出人の名が書かれていなかった。
「・・・・・・えっと・・・・・・えーと?」
まさか、これは俗に言う置手紙というものなのだろうか?
だとしたら、差出人は桔梗さんか、たろいもさんのはずだ。
(でも、こんなの・・・・・・突然すぎる)
寝床から半身を起こしたまま軽い困惑状態に陥る。
少なくとも昨夜の就寝時には、二人にそんな兆しなど見えなかった。
もしや、自分が気付かないところで二人に何かあったとでもいうのだろうか。
「とにかく、これがどちらのものなのか確認しないと―――!」
「紅露!まだ寝てるのかい?!早く起きな!」
不安にすくむ心と足に叱咤を入れ踏み出したその一歩は、本当に一歩で終わった。
自分がテントを出ようとした瞬間に、桔梗が垂れ幕を上げて入ってきたのだ。
「き、桔梗さんっ? あ、えっと、おはようございますっ。遅くなってすみません・・・っ」
「・・・・・・なに変な顔してんだい。心配しなくとも朝食の支度なら進めてあるよ」
桔梗は不審そうな表情で一瞥すると、飽きれた様に言葉を続ける。
ぶっきらぼうな言葉遣いに、眉間のシワ。何処となく偉そうに見える、立ち姿。
(正真正銘、本物の桔梗さんだ・・・・・・)
安堵の吐息を漏らしたのもつかの間、すぐに溜め息へと変わる。
彼女がここに居るとするならば、居なくなったであろう相手は彼に限られる。
(たろいもさん・・・何故・・・・・・?)
確かに、あの幼さの残った筆跡から桔梗は想像しにくかった。
見た目では年齢が計りにくいたろいものものだとするのなら頷ける。
けれど、いつも明るいあのたろいもが、置手紙1つで突然姿を消すとは到底思えない。
「・・・・・・何ぼーっと突っ立ってるんだい。まだ目が覚めないのかい?」
「あ、いえ、ありがとうございますっ。でも、あの、たろいもさんは・・・!」
「あ、紅露さん、おはようございますっスー!」
慌てて言い募ろうとした先に、前方から放たれた聞き慣れた声。
「たろいもが、どうかしたのかい?」
「・・・・・・えー・・・と・・・・・・」
自分は何故、こんなにも取り乱しているのだろうか。
不思議そうな顔で自分を見てくる二人に、じわじわと恥ずかしさが込み上げてくる。
「・・・・・・すみません、なんでもなかったみたいです」
目の前には、見慣れたいつもの光景。
にっこりと笑んで佇まいを正し、静かな朝を騒がした非礼を詫びた。
「ったく、おかしな子だね。早く支度しな、食べたら出かけるよ」
「今朝は和食っスー。タロイモのにっころがしもあるっスー」
「はい。楽しみです」
垂れ幕を下げて退出した桔梗に、ぺこりと頭を下げ、急いで身支度を整える。
寝床を片付け、桶に張った水で顔を洗い、髪に手櫛を通し、
「・・・あれ?」
襟周りを正そうと手をやった首元に、慣れない紐の感触があることに気づいた。
寝ている間に飾り紐か何かを巻き込んでしまったかと、何気なく手繰ったその先を見やり、
「 ひ わ ぁ ?! 」
素っ頓狂な叫び声をあげて、硬直した。
胸元から覗いたのは、つい最近見覚えのある、人形のそれ。
「えー・・・・・・と」
何故、自分の首からこのような物が下がっているのか、うまく理解できない。
「・・・あっ。あの、まさかとは思いますが、あの手紙の差出人はあなたでしょうか・・・?」
恐る恐る声をかけた先には、もちろん人形だ。
もしや、何者かがこの人形に封じられてでもいるのではと思い当たってのことだった。
「何故あなたが私の胸元にいるのかは存じませんが、何か理由がおありなのでしょうか?」
「私で力になれるかは分かりませんが、どうぞなんでもおっしゃってみてください」
「あ、ぶらさがっているのでは疲れませんか? 床にお座りになっては・・・」
「・・・・・・・・・あの、私の声、届いていらっしゃいますか?」
しばらく声をかけてみたものの、人形が言葉をかえす様子もなく、
「・・・・・・なにやってんだい」
なかなか出てこない紅露に焦れた桔梗が、垂れ幕の隙間から溜め息をもらした。
寝ぼけ眼で寝床から抜け出す手に触れたのは、1枚の小さな紙だった。
紙面には小さめの拙い字で、たった一行。
『 探さないでください 』
目に映った数少ないその符号たちを、一拍置いた頭が文章として認識し、
ぼんやりとしていた視界と思考が急速に覚醒する。
慌てて紙を裏返してみるものの、そこには差出人の名が書かれていなかった。
「・・・・・・えっと・・・・・・えーと?」
まさか、これは俗に言う置手紙というものなのだろうか?
だとしたら、差出人は桔梗さんか、たろいもさんのはずだ。
(でも、こんなの・・・・・・突然すぎる)
寝床から半身を起こしたまま軽い困惑状態に陥る。
少なくとも昨夜の就寝時には、二人にそんな兆しなど見えなかった。
もしや、自分が気付かないところで二人に何かあったとでもいうのだろうか。
「とにかく、これがどちらのものなのか確認しないと―――!」
「紅露!まだ寝てるのかい?!早く起きな!」
不安にすくむ心と足に叱咤を入れ踏み出したその一歩は、本当に一歩で終わった。
自分がテントを出ようとした瞬間に、桔梗が垂れ幕を上げて入ってきたのだ。
「き、桔梗さんっ? あ、えっと、おはようございますっ。遅くなってすみません・・・っ」
「・・・・・・なに変な顔してんだい。心配しなくとも朝食の支度なら進めてあるよ」
桔梗は不審そうな表情で一瞥すると、飽きれた様に言葉を続ける。
ぶっきらぼうな言葉遣いに、眉間のシワ。何処となく偉そうに見える、立ち姿。
(正真正銘、本物の桔梗さんだ・・・・・・)
安堵の吐息を漏らしたのもつかの間、すぐに溜め息へと変わる。
彼女がここに居るとするならば、居なくなったであろう相手は彼に限られる。
(たろいもさん・・・何故・・・・・・?)
確かに、あの幼さの残った筆跡から桔梗は想像しにくかった。
見た目では年齢が計りにくいたろいものものだとするのなら頷ける。
けれど、いつも明るいあのたろいもが、置手紙1つで突然姿を消すとは到底思えない。
「・・・・・・何ぼーっと突っ立ってるんだい。まだ目が覚めないのかい?」
「あ、いえ、ありがとうございますっ。でも、あの、たろいもさんは・・・!」
「あ、紅露さん、おはようございますっスー!」
慌てて言い募ろうとした先に、前方から放たれた聞き慣れた声。
「たろいもが、どうかしたのかい?」
「・・・・・・えー・・・と・・・・・・」
自分は何故、こんなにも取り乱しているのだろうか。
不思議そうな顔で自分を見てくる二人に、じわじわと恥ずかしさが込み上げてくる。
「・・・・・・すみません、なんでもなかったみたいです」
目の前には、見慣れたいつもの光景。
にっこりと笑んで佇まいを正し、静かな朝を騒がした非礼を詫びた。
「ったく、おかしな子だね。早く支度しな、食べたら出かけるよ」
「今朝は和食っスー。タロイモのにっころがしもあるっスー」
「はい。楽しみです」
垂れ幕を下げて退出した桔梗に、ぺこりと頭を下げ、急いで身支度を整える。
寝床を片付け、桶に張った水で顔を洗い、髪に手櫛を通し、
「・・・あれ?」
襟周りを正そうと手をやった首元に、慣れない紐の感触があることに気づいた。
寝ている間に飾り紐か何かを巻き込んでしまったかと、何気なく手繰ったその先を見やり、
「 ひ わ ぁ ?! 」
素っ頓狂な叫び声をあげて、硬直した。
胸元から覗いたのは、つい最近見覚えのある、人形のそれ。
「えー・・・・・・と」
何故、自分の首からこのような物が下がっているのか、うまく理解できない。
「・・・あっ。あの、まさかとは思いますが、あの手紙の差出人はあなたでしょうか・・・?」
恐る恐る声をかけた先には、もちろん人形だ。
もしや、何者かがこの人形に封じられてでもいるのではと思い当たってのことだった。
「何故あなたが私の胸元にいるのかは存じませんが、何か理由がおありなのでしょうか?」
「私で力になれるかは分かりませんが、どうぞなんでもおっしゃってみてください」
「あ、ぶらさがっているのでは疲れませんか? 床にお座りになっては・・・」
「・・・・・・・・・あの、私の声、届いていらっしゃいますか?」
しばらく声をかけてみたものの、人形が言葉をかえす様子もなく、
「・・・・・・なにやってんだい」
なかなか出てこない紅露に焦れた桔梗が、垂れ幕の隙間から溜め息をもらした。
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